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京都陶磁器釉薬研究会の紹介 |
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今年の京都陶磁器釉薬研究会では、現在、業界で問題となっている食品衛生法改正予定に伴う陶磁器器物の上絵からの鉛溶出規制強化問題に対応する観点から、「最新の上絵具研究」に関する勉強会を2回開催することにしました。6月に実施したPart1に続いて、第2回京都陶磁器釉薬研究会「最新の上絵具研究Part2」(7月12日(水曜)開催)では、特に佐賀県有田と石川県九谷において行われた無鉛絵具に関する「陶磁器上絵具研究」を、2件紹介しました。
講演の概要は次のとおりです。(Part1、Part2あわせて106名の参加がありました。) |
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(講師:佐賀県窯業技術センター 吉田秀治氏)
陶磁器製食器の上絵や釉薬から溶出する鉛やカドミウムなどの有害な重金属が人体に及ぼす影響の問題は、明治時代から取り上げられ現在に至っています。 佐賀県は、平成元年に無鉛上絵具を開発して、この上絵具を有田焼の産地に普及させ、消費者に安全な陶磁器製品を供給することを目標として有田焼の無鉛化に取り組んできました。無鉛上絵具の基本開発は1年程度で終了し、商品化のための技術開発に1年を費やして無鉛上絵具は完成しました。特に、開発した無鉛絵具の製品化については、地域の企業の強い協力があったことが幸いしました。 この無鉛フリットの組成における主な特徴は、フリット組成に希土類元素(酸化ランタン)を含有していることにあります。希土類元素を適量フリットに含有させると、上絵具の耐酸性及び自動食器洗浄に対する抵抗性が向上する効果があります。この無鉛フリットでは、特に希土類酸化物(酸化ランタン)を添加することで溶出するアルカリの量を大きく減少させ、耐酸性を向上させる効果がありました。この無鉛上絵具を開発したことにより、科学技術長官賞を受賞しました。 開発した無鉛上絵具を有田焼の産地に普及させるため、各種の事業において食器における鉛溶出問題に関する講演会や無鉛上絵具の使用方法についての実技講習会等を実施しました。さらに、上絵具の色見本転写 紙を作製して窯元に配布し、実際に試用してもらうことで、上絵焼成における問題点や絵具自体の問題点についての情報を収集して絵具の改良を行いました。 また、佐賀県陶磁器工業組合で主催する上絵付け研修や有田焼の後継者育成のために設立された佐賀県立有田窯業大学校の上絵付け短期研修で使用する上絵具を有鉛上絵具から無鉛上絵具に代えて無鉛上絵具の普及に努めました。 なお、地域内における無鉛絵具の普及率は約30%です。現在、厚生労働省では、1999年に改正されたISO基準(ISO6486-2:1999)と国内法の整合性を取るために食品衛生法の改正作業を行っています。有田焼産地では食品衛生法改正の対策として、製造業や商社・卸の組合は組合新聞等を通 じて食品衛生法の改正にかかわる情報を頻繁に広報しています。 佐賀県窯業技術センターでは、これらの活動に対し、今回予定されている食品衛生法改正に関する情報の提供やその対策についての技術指導等を行っています。
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| (講師:石川県工業試験場 木村裕之氏) 九谷焼の特徴は、透明感を持つその色鮮やかな和絵具による加飾にあります。現在の九谷焼製品における上絵付け製品の割合は、平成14年の製品カタログを調査すると上絵製品が95%を占めており、九谷焼イコール上絵製品と言える内容です。 従来の陶磁器の上絵具は鉛ガラスの粉末である白玉 、鉛白、石英と金属酸化物である色剤等からできており、色ガラスとして発色させるのが和絵具の特徴です。なぜ鉛を使用するのかですが、絵具中の鉛成分によりガラスの屈折率が高まり独特の透明感(クリスタルガラス様)が出て、宝石のような光沢を示します。さらに絵具の溶融温度が低下し、800℃前後の熱量 で容易にガラス化するなどの要因があるからです。 食品衛生法の鉛溶出基準の改正に伴い、飲食器からの溶出鉛の規格基準が強化されようとしています。九谷焼製品についての影響としては、25mm未満の皿物(8.0μg/cu)への影響はそれほどではないのですが、鉛溶出規制値が厳しい1.1リットル以上の大鉢(1.0mg/リットル)が影響を受けます。 そこで、九谷焼に適した無鉛フリット(白玉)の開発を検討しました。九谷の無鉛上絵具の必要条件としては、九谷焼独特の透明感があり、食器として使用するための耐水・耐酸性があることでした。試作した無鉛絵具の主成分はSiO2,Al2O3,B2O3であり、アルカリ金属酸化物としてLi2O,Na2O,K2Oを、アルカリ土類酸化物としてMgO,CaO,SrO,BaOを、その他微量添加物としてZnO, ZrO2, SnO等を用いるものでありました。 約500種類程の調合組成から九谷焼に適したフリット組成を選定しました。そして、試作した和絵具の透明感、耐水・耐酸性、熱膨張などの特性を詳細に評価しました。 なお、この無鉛絵具の調合組成の詳細は地域内の機密となっており、ここでは公開はできません。無鉛絵具用の「九谷五彩 」に使用する着色剤としては、赤と黄には酸化鉄を、青には酸化銅、紺には酸化コバルトを、紫には酸化マンガンを用いました。 過去に「九谷五彩」の上絵具(有鉛、無鉛とも)には、透明感のある赤色絵具が存在しませんでした。そこで、透明赤を開発することとしました。透明感のある赤を得ることは、九谷焼の永年の技術的課題でもありました。 研究の結果 、金コロイドの添加量を変えることでピンクから濃い赤までを安定して発色させる和絵具が完成しました。従って、現在、九谷の無鉛和絵具としては、青、黄、紫、紺青、透明赤、弁柄赤の6色基本色の発色が可能となっています。開発した無鉛上絵具の焼成温度は850℃で、従来より約50℃高く、通常の絵付方法での絵付が可能となっています。また、現用の耐酸絵具に比べ剥落傾向が少ないという特長もあります。 次に開発した無鉛和絵具を業界に普及させる努力を行いました。平成16年度に九谷焼業界は、「無鉛絵具を使用した九谷焼のブランド構築」事業で、経済産業省のジャパンブランド育成支援事業に応募し採択されました。この事業に合わせ無鉛和絵具の説明会・講習会を開催し、併せて国内外の複数の展示会への無鉛絵具製品出品のため、50〜60人の作家及び職人の方に無鉛絵具を試用してもらいました。 |
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| ※「最新の上絵具研究Part1」の講演概要は本誌8月号に掲載していますので、併せてご覧ください。 (http://www.mtc.pref.kyoto.lg.jp/ce_press/no_014/no_014.htm) |
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