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センターの事業から


隠れた文化資産を次世代に

ゲームアーカイブ・プロジェクト

photo  アメリカで生まれ、1980年代に日本で飛躍的に発展したテレビゲーム。関連市場は拡大を続け、高い評価を受けた日本の製品は世界各国に輸出されています。
 このテレビゲームを文化的な資産としてとらえ、次世代に活用できるようデータベース化しようという計画が産学官連携で進行中です。今回は、そのゲームアーカイブ・プロジェクトの概要を御紹介します。

■ゲームを取り巻く状況
 子供たちだけでなく、大人にも高い支持を得ている代表的娯楽といえば、現在、テレビゲームがあげられます。もとはといえば、新しい遊びのシステムとしてアメリカで生まれたものですが、1980年代に、任天堂株式会社のファミリーコンピュータ(ファミコン)の大ヒットにより、日本でもその市場は急速に拡大しました。ハード機器、ゲームソフトともに新規参入が相次ぎ、激しい企業間競争が行われた結果、我が国のテレビゲームに関する技術−特にソフトウェア関係−は世界をリードするものとなっています。
 近年、社会経済全般におけるゲーム関連産業の比重が増すにつれ、その意味や役割について、産業・社会・文化生活等の各方面から研究する必要が生じてきました。特に、日々膨大な数が制作され、発表されているゲームソフトについては、これまで体系立てて整理・分類されたことがなく、その必要性が指摘されていました。

■ゲームアーカイブ・プロジェクトとは
 京都府、京都リサーチパーク株式会社及び立命館大学の3者が協力し、ゲームソフトのデータベース化をはじめとした各種の取り組みを通じて、テレビゲームを対象としたデジタルアーカイブの活用法を探るために立ち上げた研究プロジェクトです。
 本プロジェクトは、各方面から幅広い参加協力を求めながら、計画が進められており、主な取り組みの概要は以下のとおりです。

●データベースの構築
 これまでソフトメーカーが資料として保存しているに過ぎなかったゲームソフトを文化資産としてとらえ、すべてのテレビゲームを対象として、
  ・ゲームソフトの収集と基本情報のデータベース化
  ・作成したデータベースを社会的に広くオープンに利用できるシステムの構築
  ・テレビゲームに関する研究や活動成果の蓄積
を行う。
  データベース構築に当たっては、現在のテレビゲームの原点・雛形と評価される「ファミリーコンピュータ」を対象とし、任天堂(株)の協力により約1,800本のソフトウェアを借用し、データベース作成を行う。研究期間は半年間とし、研究の具体的な活動として、以下の項目を整理した基本的なデータベースを構築する。

photo <項目名>

・タイトル    ・略称    ・発売ブランドメーカー名   
・発売日    ・価格    ・著作権表示 ・機種     
・その他(現在はゲームプログラム自体のデータベース化は予定していません。)
データベース化される1,800本のゲームソフト

 

●立命館大学はインターメディウム研究所と協力して、データベースの構築を行い、ゲームアーカイブを活用した人材育成のあり方について研究を行う。
●京都府のコーディネートによって「ゲームサロン」を定期的に開催し、本研究との連携・協働を目指す。
●研究用Webサーバを立ち上げ、本プロジェクトの研究活動の成果を公表するとともに、国内のマルチメディア系人材育成機関やテレビゲームに関わる人々から意見収集、交換する場として利用する。

 本プロジェクトは今年4月にスタートし、京都府のコーディネートにより、京都リサーチパーク(株)から立命館大学政策科学部細井研究室に研究委任を行い、第1フェーズでは「人材育成におけるゲームアーカイブの活用」をテーマにしました。
 以降も継続して同様の研究、協議を重ね、次代産業への活用方法等について検討していく場となることを目指しています。


ゲームサロンから


 当センター主催で定期的に開催している「ゲームサロン」では、業界関係者、有識者の方を講師にお迎えし、テレビゲームの現状と課題についてのテーマを幅広く取り上げ、プロジェクトのメンバーを中心にディスカッションを行っています。ここでは既に開催された「ゲームサロン」の概要を御紹介します。

第1回 7月3日(金) 講師 株式会社DVL 企画本部企画部長 高野 雅春 氏

photo  高野さんは「日経エレクトロニクス誌」の記者時代に、ゲーム機の技術的・設計的な面からのアプローチで各方面に取材をされており、今回はその取材を元に、アメリカで作られた世界初のテレビゲーム機からファミコンの登場に至るまでの、主にハードウェアの進化の面からテレビゲームの歴史について語られました。
 初期のハードウェア、特に世界初のテレビゲーム機である「オデッセイ」などは、性能的には現在のテレビゲーム機には遠く及ばないにもかかわらず、ハードとソフトの分離(ワンハード・マルチソフト思想)や、対戦を意識した2つのコントローラーを装備していたなど、今のテレビゲーム機設計とあまり遜色が無いことを指摘されました。高野さんによると、ファミコンがテレビゲーム機の基礎的な設計思想の集大成となっているそうです。
 また、ハードウェアの中でもユーザーインターフェースの部分の話、特にコントローラー上の「十字キー」の発明による人とゲームの一体感達成の功績、などについて熱心に語られました。
 後半の質疑では、テレビゲームの大きな特性である「リセットボタン(機器のボタンを押すことによって、それまでのゲームプレイ記録が白紙に戻される=やり直しが可能)」がもたらすテレビゲーム世代への心理的作用、手になじむユーザーインターフェースの新しい形の話(ポスト十字キーはどのようなものだろう)、海賊版ソフトとゲームの底辺の広げ方の問題といった堅い話題から、「レースゲームをしていると身体が勝手に動いてしまうのは何故だろう」といったものまで、テレビゲームの多様な問題について意見交換が行われました。
 最後に本プロジェクトについて、広く情報を発信し、ゲームというメディアの底辺を広げる人材育成のための器として機能されることを期待する、と話されました。

第2回 8月24日(月) 講師 株式会社セガ・エンタープライゼス代表取締役副社長 廣瀬 禎彦 氏

photo  廣瀬さんのお話は、まずこのプロジェクトに関することから始まりました。現在、ゲームに関しては、ほとんど日本固有の文化であるにもかかわらず、情報の蓄積に関してはまだまだ未整備の状態で、その面からも今回の取り組みは意味のあることだと話された上で、完全なデータベース化を目指すなら、今しかチャンスはなく、もし完成すれば、そのデータベースを基にして、新たな面白いソフト文化が生まれる可能性も指摘されました。
 また、現在、ハードウェアであるゲーム機について、各社のシェアのみが話題となることが多いが、実際は各社の目指す方向には違いがあり、あまりにシェア中心の議論に偏ることは文化として考える場合いかがなものかと、問題提起をされました。各社の持つ方向(文化)によってこれからはポジショニングがなされていくのではないか、その上でセガのゲームについて言及され、ターゲットとする層は大人の男性、イメージとしては昔のゲームセンターのような夜の匂いが感じられるもの、少しダーティーな香りを意識して開発を行っておられるそうです。
 技術的な面については、現在、ゲームソフトにおけるビジュアル関連技術はもうかなりの水準に達しており、これ以上の追究が必要かどうかは議論を要するが、ゲーム開発の主軸は間違いなくビジュアル以外の分野に動いていくことになるだろう、というお話でした。先日発表された次世代ゲーム機「ドリームキャスト」にもモデムが標準装備されており、これからはゲームでありながら通信機能を使って構築されるネットワーク、コミュニケーションが重要になってくるというお話になると、会場からも質問や意見が出され、これからのゲームの目指すものについてハード、ソフト両面からディスカッションが行われました。


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